外を歩けば汗ばむし、木々も草も青々としていて、夏の続きのように感じる日もあります。
でも朝、外へ出たときはどうでしょう。
少し前より空気が涼しく感じられたり、草の葉に小さな水滴がついていたり。
昼間の景色はまだ夏なのに、朝の景色には少しずつ秋が混ざり始めています。
9月7日頃から、【二十四節気】は白露(はくろ)を迎えます。
今回、白露に合わせて選んだ日本の伝統色は、露草色(つゆくさいろ)。
朝露の残る草むらに咲く、露草の鮮やかな青色です。
白露の頃には、少し早起きをして、朝の草むらを眺めてみたくなります。
【二十四節気】白露って、どんな季節? 9月8日~9月22日頃
「白露」という言葉、とてもきれいですよね。
白い露と書いて、白露。
この頃になると、夜の間に気温が下がり草や葉の上に露がつくようになります。
朝日が差すと小さな露の粒が光って、白く見えることがあります。
そこから「白露」と呼ばれるようになったといわれています。
とはいえ、9月初め。
昼間はまだ暑い日が続きます。
蝉の声が聞こえる日もありますし、木々の緑にも夏の勢いが残っています。
だから白露は、「すっかり秋になった頃」という感じではありません。
夏の景色の中に、小さな秋を見つけ始める頃。
そんなふうに考えると、今の季節にぴったりな気がします。
朝の空気。
少し早くなった夕暮れ。
夜になると聞こえてくる虫の声。
そして、草の上の露。
一つひとつは小さな変化ですが、それが少しずつ増えていくんですね。
【二十四節気】白露に選んだのは「露草色」
今回選んだ色は、露草色(つゆくさいろ)です。
露草の花のような、澄んだ青色です。
露草は、道端や草むらでも見かける身近な植物。
緑の葉の間に、ぽつんと鮮やかな青い花が咲いています。
小さな花なのに、この青は本当によく目立ちます。
露草の花が咲くのは朝。
朝に咲いた花は、午後になる頃にはしぼんでしまいます。
朝露の残る時間に咲いて、太陽が高くなる頃には、その姿を変えていく。
「露草」という名前が、なんだかよく似合います。
白露というと「白」の印象が強いのですが、今回は白い露そのものよりその露のそばにある色を選んでみました。
緑の草。
透明な露。
そして、その中に咲く露草の青。
そんな朝の景色を思い浮かべると、白露と露草色が自然につながってきます。
【二十四節気】露草の青は、昔の暮らしの中にも
露草の花をよく見ると、「こんなに鮮やかな青が植物の中にあるんだ」と驚きます。
昔の人も、この青色に目を留めていました。
露草の花びらを搾ると、青い汁が出ます。
その色は昔から染色などに使われてきました。
ただし、露草の青には水で落ちやすいという特徴があります。
その性質を利用して、友禅染などでは布に模様を描くときの下絵にも使われてきました。
あとで水に通すと、下絵の青は洗い流されていきます。
朝に咲いて、やがてしぼんでいく花。
水に触れると消えていく青。
露草の色には、ずっと残り続ける色とは違った美しさがあるように感じます。
【二十四節気】白露の七十二候を見てみましょう
白露の約15日間にも、三つの七十二候があります。
並べてみると、白露の間に秋が少しずつ深まっていく様子が見えてきます。
草露白(くさのつゆ しろし)
まずは、草露白。
草の葉についた露が、白く光って見える頃です。
白露という二十四節気を、そのまま小さな景色にしたような名前ですね。
朝の草むらを見てみると、葉の縁に小さな水滴が並んでいることがあります。
そこに朝日が当たると、きらきら。
今回の露草色も、この景色の中に入れてみたくなります。
露をまとった緑の草の中に、小さな青い露草が咲いている。
白露の始まりに、とてもよく似合う景色です。
鶺鴒鳴(せきれい なく)
次は、鶺鴒鳴。
セキレイが鳴く頃です。
セキレイという名前を知らなくても、姿を見たことがある人は多いかもしれません。
すらりとした体で地面を歩きながら、長い尾を上下にぴょこぴょこと動かす鳥です。
川辺で見かけることもあれば、道路や駐車場を歩いていることもあります。
草露白では足元の露を見ました。
鶺鴒鳴では、少し耳を澄ませて鳥の声を聞いてみる。
七十二候を知っていると、季節を探す場所が少しずつ増えていくのも面白いところです。
玄鳥去(つばめ さる)
そして白露の最後は、玄鳥去。
「玄鳥」はツバメのことです。
春に日本へやってきたツバメが、南へ帰っていく頃を表しています。
そういえば、春の七十二候には玄鳥至(つばめ きたる)がありました。
春には「来る」。
秋には「去る」。
同じツバメが七十二候の中に二度登場するんですね。
春にやってきて、巣を作り、子育てをして、夏を過ごす。
そして秋が近づくと、また長い旅へ出ていく。
「最近、ツバメを見なくなったな」
そんな何気ない気づきも、季節が進んでいるしるしなのかもしれません。
たった15日でも、景色は変わっていく
白露の七十二候をもう一度並べてみると、
草露白 → 鶺鴒鳴 → 玄鳥去
となります。
最初は、足元の草についた小さな露。
次は、セキレイの声。
最後は、南へ帰っていくツバメ。
面白いですよね。
「秋を探してみよう」と思って遠くへ出かけなくても、季節はいつもの暮らしの中にあります。
朝、草に露がついていた。
鳥の声が聞こえた。
いつも見ていたツバメの姿がなくなった。
そんな小さな変化を昔の人たちは見つけて、季節の名前にしてきたのですね。
【二十四節気】白露の頃に楽しみたいハーブ
まだ暑さが残るこの時期に合わせたいのが、レモンバームです。
葉に触れると、ふわっとレモンのような爽やかな香りがします。
昼間の暑い時間には冷たいハーブティーで。
朝晩に少し涼しさを感じたら、温かいハーブティーで。
同じハーブでも、その日の気温に合わせて飲み方を変えられます。
もう一つは、エルダーフラワー。
やさしい甘さを感じる香りで、季節の変わり目にも楽しみたいハーブです。
9月は、朝は涼しかったのに昼間は暑かったり、昨日と今日で気温が大きく違ったりします。
暦を見ることと一緒に、自分が今日どう感じているのかにも目を向けたい時期ですね。
香りにも、少しずつ秋を
アロマなら、まずはラベンダー。
夏にも似合う香りですが、夜が少しずつ長くなる白露の頃にもよく合います。
窓の外から虫の声が聞こえてくる夜。
ラベンダーを香らせながら、ゆっくり過ごすのもいいですね。
朝にはベルガモットを。
柑橘の爽やかさがありながら、少しやわらかさも感じる香りです。
朝露が光る時間の、すっきりした空気にもよく似合います。
朝の草むらに、小さな秋を探して
白露を迎えても、昼間はまだ暑い。
草も木も青々としていて、夏はまだすぐそばにいます。
でも朝になると、葉の上には小さな露。
その草むらをよく見れば、鮮やかな青い露草が咲いているかもしれません。
今回選んだ露草色は、そんな白露の朝に見つけたい色です。
季節は一日で大きく変わるものではありません。
昨日と今日では、ほとんど同じように見えることもあります。
それでも、朝の空気が少し違う。
日が短くなった。
虫の声が増えた。
草に露がついている。
そんな小さな変化が重なって、夏から秋へと景色が変わっていくのでしょう。
白露の朝は、いつもより少しだけゆっくり足元を眺めてみたいものです。
葉の上で光る小さな露。
そのそばに咲く露草の青。
ほんの短い時間に出会える、今の季節の色です。
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