【二十四節気】では処暑の次候にあたる頃です。
8月も終わりに近づきました。
日中はまだまだ暑く、空には夏らしい雲が浮かび、木々も青々としています。
けれど夕方になると、少し前まで明るかった時間に日が傾き始め、風にもほんの少し変化を感じるようになります。
そんな天地始粛の季節に合わせたい色は、薄葡萄(うすぶどう)。
淡くやわらかな紫色です。
夏の一日が静かに暮れていく頃、空にほんのり現れる紫。
その色に、少しずつ静まっていく夏を重ねてみたいと思います。
【七十二候】天地始粛とは 8月28日~9月1日頃
天地始粛(てんち はじめて さむし)は、【二十四節気】処暑(しょしょ)の二番目の【七十二候】です。
「天地」は、空と大地、そして私たちを取り巻く自然。
「粛」には、静まる、引き締まるといった意味があります。
「さむし」という読みから、寒くなる頃を想像するかもしれませんが、8月末ですから、まだ残暑の厳しい日が続きます。
ここで感じたいのは、急に気温が下がって秋になることよりも、盛夏の勢いが少しずつ静まっていくことなのだと思います。
真夏には朝早くから強く感じられた日差し。
にぎやかだった蝉の声。
いつまでも明るかった夕方。
そんな夏の景色が、ほんの少しずつ変わり始めます。
暦は、そのわずかな変化を「天地始粛」という美しい言葉で伝えてくれているのですね。
「粛」という文字から感じるもの
「粛」という文字を見ると、「静粛」という言葉が思い浮かびます。
にぎやかだった場所が、次第に静かになっていく。
そんな様子を想像すると、「天地始粛」という言葉がぐっと身近になります。
夏は、自然の音にも勢いがあります。
蝉の大合唱、突然降り出す夕立、雷の音。
空には大きな入道雲が現れ、草木も勢いよく伸びていきます。
天地始粛を迎える頃になっても、その夏らしさはまだ残っています。
その一方で、夕方になると、虫の声が聞こえてくるようになったり、日が暮れる時間が少し早くなったことに気づいたりします。
夏のにぎやかさの中に、静かな時間が少しずつ増えていく。
「粛」という一文字には、そんな季節の変化も感じられます。
【七十二候】天地始粛に合わせたい「薄葡萄色」
今回選んだ色は、薄葡萄(うすぶどう)色です。
名前の通り、葡萄を思わせる紫を淡くした、やさしく落ち着いた色です。
濃く鮮やかな紫には華やかさや強さがありますが、薄葡萄には、どこか静かな美しさがあります。
この色を見ていると、私は8月の終わりの夕空を思い浮かべます。
まだ青さの残る空。
西の低いところには、沈んでいく太陽の淡い橙色。
そして日が沈むにつれて、その間にやわらかな紫色が現れます。
青、桃、橙、紫。
さまざまな色が溶け合う中に、ほんの短い時間だけ現れる薄葡萄色。
その儚さも、この季節によく似合うように感じます。
夏の夕暮れに見つける秋
【二十四節気】では、すでに立秋を過ぎています。
それでも、私たちが暮らしの中で感じる季節は、まだ夏でしょう。
昼間に外へ出れば強い日差しが照りつけ、冷房も欠かせません。
だからこそ、この時期の「秋」は、景色の中から探すくらいがちょうどいいのかもしれません。
少し早くなった夕暮れ。
夕方に吹いた風。
夜に聞こえた虫の声。
空を見上げたときに見つけた、淡い紫色。
大きく季節が変わったわけではなくても、昨日まで気づかなかった何かをひとつ見つける。
【七十二候】を知っていると、そんな小さな変化にも目を向けたくなります。
【七十二候】天地始粛の頃に楽しみたいハーブ
レモンバーベナ
まだ暑さの残る季節には、爽やかなレモン調の香りを持つレモンバーベナがよく似合います。
すっきりとした香りの中にやわらかさがあり、一日の終わりにゆっくり過ごしたいときにも楽しめるハーブです。
夕暮れの空を眺めながら、温かいハーブティーを少しずつ味わうのもいいですね。
リンデン
穏やかな甘い香りを持つリンデンも、この時期に合わせたいハーブです。
夏の一日を終え、夜へ向かって気持ちをゆったりと整えたい時間に。
薄葡萄色に変わっていく夕空とともに楽しみたい香りです。
【七十二候】天地始粛の頃に楽しみたいアロマ
ラベンダー
薄葡萄色から連想する香りとして、やはりラベンダーはよく似合います。
夏の夕方、少しずつ静かになっていく時間に、穏やかなラベンダーの香りを楽しんでみてはいかがでしょう。
ベルガモット
爽やかな柑橘の香りに、やわらかな落ち着きを感じるベルガモット。
まだ夏らしさが残るこの時期にも取り入れやすい香りです。
ラベンダーとベルガモットを合わせれば、夏の爽やかさと夕暮れの穏やかさが一緒になったような香りになります。
おわりに
【七十二候】の天地始粛。
文字だけを見ると、ずいぶん秋が深まったようにも感じます。
実際の8月末には、まだ暑い日が続きます。
木々は緑に茂り、空には夏の雲が浮かび、蝉の声が聞こえる日もあります。
そんな夏の中で、ほんの少し静まり始めたものを探してみる。
夕方になったら、空を見上げてみてください。
青かった空が少しずつ色を変え、その中に薄葡萄色が見つかるかもしれません。
一日の暑さが静まり、夏のにぎやかさも少しずつ落ち着いていく時間。
まだ夏。
けれど、次の季節はもう少しずつ始まっています。
天地始粛は、そんな小さな変化に気づかせてくれる七十二候なのだと思います。
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