『The Herbcrafter’s Tarot(ハーブクラフターズタロット)』は、植物と人との関わりを通してタロットの世界を描いたカードです。
一般的なタロットとは少し違うこのカードを、植物のこと、描かれているもの、そして私自身が感じたことから読み解いてみます。
今回は、小アルカナ「Ten of Fire(火の10)」。
描かれている植物は、COMFREY(コンフリー)です。
たくさんの軟膏があるのに、まだ作るの?
古びた木製のテーブルの上には、たくさんの道具や材料が並んでいます。
大きな鍋、瓶に入ったオイルや軟膏。
テーブルの手前には、コンフリーの大きな葉と黄色い蜜蝋も置かれています。
奥には、紫色の小さな花を咲かせたコンフリーが置かれ、その上には乾燥させるためでしょうか。たくさんの葉が吊るされています。
どうやら、ここは植物を使って軟膏などを作るハーブクラフターの作業場のようです。
それにしても、ずいぶんたくさんの軟膏がありますね。
もう十分に作ったように見えるのに、まだ作業を続けるのでしょうか。
なぜTen of Fireにコンフリーなのでしょう
コンフリーは、ヨーロッパから西アジア、シベリア西部にかけて分布する多年草です。
大きな葉を次々に伸ばし、春から夏にかけて、釣鐘のような小さな花を咲かせます。
その生命力はとても旺盛。
地中深くまで根を伸ばし、地上部を刈り取られても、再び新しい葉を伸ばします。
コンフリーは古くから薬用植物として利用され、英語では「Knitbone(骨をつなぐ草)」とも呼ばれてきました。
また、葉を堆肥やマルチングに利用するなど、土づくりにも役立てられてきた植物です。
ハーブクラフターズタロットの解説書では、10のカード全体に「堆肥化・補充・再生」というテーマが与えられています。
植物が育ち、収穫され、やがて土に還る。
その土から、また新しい植物が育っていく。
10は、一つのサイクルが終わり、次の成長へと移っていく段階なのですね。
コンフリーも、刈り取られたあとに再び葉を伸ばします。
そのためには、根に蓄えられた養分や、成長するための時間が必要です。
解説書には、コンフリーが旺盛に成長するあまり、手に負えなくなることがあるとも書かれています。
そして、強く刈り込んでも、再び成長することができると説明されています。
作者は、このコンフリーの性質を仕事や責任をたくさん抱え込んでいる人の姿に重ねたのではないかと思うのです。
ウェイト版のワンドの10と比べてみると
ウェイト版タロットのワンドの10には、10本の棒を抱えて歩く人物が描かれています。
大きな荷物を抱え、前かがみになりながら、遠くに見える建物へと向かっています。
目的地までは、もう少し。
ここまで頑張ってきたのだから、何とか運びきりたい。
そんな気持ちが伝わってくるようです。
ワンドの10は、責任や負担、仕事を抱え込みすぎている状態などを表すカードです。
一方、ハーブクラフターズタロットのTen of Fireには人物が描かれていません。
あるのは、コンフリーと作業途中の道具、そして出来上がったたくさんの軟膏です。
作業をしていたハーブクラフターは、どこへ行ったのでしょう。
少し休憩しているのでしょうか。
それとも、次の作業に必要なものを取りに行ったのでしょうか。
ウェイト版の人物は、たくさんの荷物を抱えています。
こちらのハーブクラフターも、たくさんの仕事を抱えているようです。
どちらのカードからも、十分に頑張ってきた人の姿が浮かんできます。
好きなことだから、やめられない?
ハーブクラフターは、コンフリーを育て、収穫し、軟膏を作っています。
最初は、自分や家族のために作り始めたのかもしれません。
植物を育てることも、軟膏を作ることも大好きなのでしょう。
出来上がった軟膏を見て、うれしくなり、また作って‥‥。
気がつけば、作業台にはたくさんの軟膏が並んでいます。
それでも、まだ終わらせる様子はなさそうです。
「せっかく収穫したのだから、全部使わなくちゃ」
「あと少しだけ作ってしまおう」
そんな気持ちになっているのかもしれません。
好きなことをしている時間は楽しいものです。
夢中になっているうちに、時間が過ぎてしまうこともあります。
でも、どこかで区切りを付けなければいけませんよね。
私がこのカードから受け取ったメッセージ
私は毎日、手帳を書く時間を楽しみにしています。
ある日、「今日から手帳の書き方を見直して時間配分を見直そう」と思っていた日にこのカードを引き、驚いたことがあります。
手帳には毎朝引いたタロットの内容を書くのですが、それだけでなく、気になったモチーフのイラストを描いて絵日記のように仕上げていました。
きれいに仕上がった手帳を見るのは、とても楽しい時間です。
でも、思っていた以上に時間がかかっていました。
タロットのことも、植物のことも、もっと学びたい。
ブログも書きたいし、ほかにもやりたいことがたくさんあります。
そこで、手帳の書き方をもっと簡単にすることにしました。
カードの絵をじっくり観察し、感じたことを自分の言葉で書く。そして解説書を読んで、作者の意図も理解する。
そんな時間を大切にしようと思ったのです。
そして、そのあとに引いたのが、このTen of Fireでした。
カードを見た瞬間、思わず納得してしまいました。
「私が思っていたことが、そのままカードに出たんだ!」
作業台には、すでにたくさんの軟膏が並んでいます。
もう十分に作ったのに、まだ作ろうとしている。
その様子が、手帳をきれいに仕上げようと、時間をかけ続けていた自分と重なったのです。
好きなことは、つい夢中になってしまいます。
でも、やりたいことがたくさんあるからこそ、時間の使い方も大切にしたい。
コンフリーは、刈り取られても再び新しい葉を伸ばす植物です。
今は作業を終えても、また次の機会に楽しむことができます。
「もう十分に頑張ったよ。少し休んで、次のことを楽しもう」
このカードから、そんなメッセージを受け取った気がしました。
自分の中ですでに決めていたことを、カードがそっと後押ししてくれたような、不思議でうれしい出来事でした。
コンフリーの基本情報
- 和名: ヒレハリソウ
- 英名: Comfrey、Common Comfrey
- 学名: Symphytum officinale L.
- 科名: ムラサキ科
- 生活型: 多年草
- 原産地: ヨーロッパから西アジア、シベリア西部にかけて
- 花期: 主に晩春から夏
※カードの解説書では Symphytum species と記されており、ヒレハリソウ属の植物を広く指しています。
コンフリーは、湿り気のある草地や川岸などに生育する植物です。
大きく毛の生えた葉を持ち、紫色やピンク色、白色などの釣鐘状の花を咲かせます。
根が深く伸び、刈り取ったあとも再び成長する性質があります。
古くからヨーロッパでは薬用植物として知られ、打撲や捻挫などの手当に利用されてきました。
「Knitbone(骨をつなぐ草)」という別名も、こうした歴史から生まれたものです。
また、園芸では葉を堆肥に加えたり、土の表面に敷いたりして利用されます。
なお、コンフリーには肝臓に有害なピロリジジンアルカロイドが含まれています。
日本ではコンフリーを含む食品の販売が禁止されており、食用にはできません。外用についても、自己判断で手作り製剤を使用することは避けましょう。
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