― 自然のリズムで生きる知恵 ―
🌿 はじめに
私たちが使っている「カレンダー」は、数字で日付を知るためのものですが、昔の人々にとっての暦(こよみ)は、自然の呼吸を感じるための道しるべでした。
空を見上げ、風を感じ、草木の変化から季節を知る――
その感性は、古代の中国で生まれ、やがて日本に伝わって大切に受け継がれてきました。
元嘉暦(げんかれき)とは
二十四節気や七十二候が日本に伝わるきっかけとなったのが、中国・南朝の宋(そう)時代に作られた「元嘉暦(げんかれき)」 です。
この暦は、443年(元嘉20年)に学者・何承天(かしょうてん) によって作られました。
太陽の動き(季節)と月の満ち欠け(陰暦)の両方を取り入れた「太陰太陽暦」です。
そして、この元嘉暦の中には、すでに二十四節気の考え方が組み込まれていました。
一年を24に分けて季節を表すこの仕組みが、日本に伝わる“橋渡し”となったのです。
二十四節気の誕生 ― 太陽の道を24に分ける
二十四節気は、紀元前6〜5世紀ごろの中国(戦国時代)に生まれました。
一年を太陽の動きに合わせて24等分し、季節の移り変わりを「立春」「夏至」「秋分」「冬至」などの節目で表します。
たとえば――
- 立春:春の兆しを感じるころ
- 夏至:太陽が最も高く昇る日
- 秋分:昼と夜の長さが同じになるころ
農場
元嘉暦では、この二十四節気を使って農事・祭事・季節の節目を記しており、日本の暦の基礎にも大きな影響を与えました。
🍃 七十二候(しちじゅうにこう)
二十四節気が生まれたあと、それをさらに細かく分けたのが 七十二候(しちじゅうにこう) です。
二十四節気が約2000年以上前(戦国〜秦の時代)に成立したのに対し、七十二候はその後、紀元前2世紀ごろ(前漢時代)にまとめられたとされています。
一年を24節気に分け、その一つをさらに 3つの候(約5日ずつ) に細分化。
一年=24節気 × 3候 = 72の季節。
一つひとつの候は、約5日間の自然の変化を言葉で表します。
たとえば――
- 「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」:春の風が氷を溶かすころ
- 「桜始開(さくらはじめてひらく)」:桜の花が咲き始めるころ
- 「霜始降(しもはじめてふる)」:霜が降り始めるころ
このように、七十二候は自然の小さな息づかいを感じる暦です。
日本での発展 ― 自然に寄り添う暦へ
日本には、6世紀ごろ(飛鳥時代) に二十四節気と七十二候が伝わりました。
最初は中国のままの節気や候が使われていましたが、やがて日本の風土や四季に合わせて少しずつ改訂されていきます。
そして江戸時代、貞享暦(1685年)のころ、『暦便覧(こよみびんらん)』 という暦書で、日本独自の七十二候が完成しました。
たとえば――
- 「鶯(うぐいす)鳴く」
- 「蛙(かわず)始めて鳴く」
- 「紅葉蔦黄ばむ」
どれも日本の自然や暮らしの風景に根ざした、やさしい言葉です。
おわりに ― 暦は自然と人をつなぐ橋
元嘉暦が生まれ、二十四節気が作られ、七十二候が生まれる――
その流れは、まるで 太陽・月・大地の呼吸 のように続いています。
現代のカレンダーは便利だけれど、昔の暦には「自然と生きる知恵」が詰まっています。
朝の光や夜の風、虫の声や花の香り――
それを感じ取ることが、今を生きる私たちにとっての“もう一つの時間”なのかもしれません。
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