ハーブの象徴的意味、神話、歴史、文化

ハーブを愛した女性たちが“魔女”と呼ばれた理由

※このブログ記事でご紹介しているタロットカードの意味や解釈は、筆者自身の経験と直感に基づくものです。また、本ページ掲載のイラストはAI生成ツールにより作成したオリジナル作品です。

魔女狩りの時代に消されかけた、植物の知恵

私たちは今、ハーブティーを飲んでほっと一息ついたり、アロマの香りで癒されたりしています。
けれど、ほんの数百年前――
植物を知り、癒しの力を持つ女性たちは「魔女」と呼ばれ、恐れられていました。

「魔女」とは誰のことだったのか

「魔女」と聞くと、黒い帽子をかぶり、ほうきに乗る姿を思い浮かべるかもしれません。
でも、もともと魔女とは、自然や薬草の力を使って人を助ける女性のことでした。

中世ヨーロッパでは、まだ現代のような病院も薬もありません。
人々は、身近な草木を使って体の不調を整えていました。
村には、薬草に詳しく、出産や病のときに人を助ける女性たちがいました。
今でいうハーバリスト、助産師、セラピストのような存在です。

ところが16〜17世紀、ヨーロッパ各地で「魔女狩り(まじょがり)」と呼ばれる出来事が起こります。
それは、魔女だと疑われた人を捕まえ、裁判にかけ、火あぶりや絞首刑にしたという恐ろしい歴史です。
当時の人々は、病気や不作などの災いを「悪魔の仕業」と信じ、その原因を誰かに押しつけようとしました。
その矛先が、知識を持つ女性たちだったのです。

同じ薬草でも「男性なら学者、女性なら魔女」

ハーブの知識を持つこと自体は悪いことではありませんでした。
例えば、古代ローマの医師ディオスコリデスは、『薬物誌』という本をまとめ、薬草学の父と呼ばれています。
けれど、彼のような男性の学者は称えられ守られた一方で、村で同じように植物を扱っていた女性たちは「魔女」として疑われました。

なぜか。
それは、当時の社会が男性中心だったからです。
医療や学問の世界は教会や男性の支配下にあり、そこに「自然とつながる女性の力」は脅威と映りました。
同じ知識を持っていても、男性が語れば“学問”、女性が使えば“魔術”とされた――
これが、魔女狩りを生んだ土壌でした。

知識を持つ女性が排除された時代

魔女狩りのピークは16〜17世紀。
ドイツやフランスを中心に、数十万人が「魔女の疑い」で告発され、そのうち数万人が命を落としたといわれています。
彼女たちは、ただ植物の知恵を持っていただけ。
それでも、社会の不安や偏見の中で“悪の象徴”にされてしまいました。

それでも消えなかった“癒しの知恵”

けれど、彼女たちが守ってきた植物の知恵は、火に焼かれても消えませんでした。
母から娘へ、師から弟子へ、静かに受け継がれ、やがて科学や医学が発展するなかで再び姿を現します。
ハーブ療法、アロマセラピー、自然療法――
それらの根っこには、彼女たちの知恵と祈りが生きているのです。

現代という希望

今、私たちは再び自然に目を向け、植物の力を暮らしに取り入れるようになっています。
ハーブを育て、香りを楽しみ、心と体のバランスを整える。
それは、かつて“魔女”と呼ばれた女性たちの生き方そのもの。

男女の差が少しずつなくなり、女性が自由に学び、表現できる時代になった今、私たちはようやく「魔女」という言葉を恐れずに受け取れるようになりました。

結びに

ハーブの歴史をたどると、それは女性の知恵と勇気の歴史でもあります。
差別や偏見の中でも消えなかった“植物と共に生きる力”。
今の私たちは、その続きを生きています。

だからこそ、ハーブを学ぶことは、過去を癒し、未来をつくる行為でもあるのです。


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